あふれんばかりのとなみ愛で、となみの良さを伝えていく
ウィズケィ、KO・RA・RE
河合 要子さん
砺波の人たちの暮らし方を
愛してやまない河合さん。
その魅力を多くの人たちに知ってもらうため、
3人の女性とともにグループ
「KO・RA・RE」を結成しました。
砺波市観光協会の協力を得ながら、
いろいろなツアーを企画・実施しています。
富山の観光に興味を持っていた河合さん。「とやま観光未来創造塾」の塾生として観光ガイドに必要な技術や企画力などを学んだ後、砺波市に市外から移り住む3人の女性に声をかけ、2014年に「KO・RA・RE」を結成しました。結成後、砺波市観光協会が公募した体験・交流型モニターツアーに応募。これに採用されたことで、第1弾ツアーとして、庄川地域のモニターツアーを実施しました。「観光協会さんの応援体制のおかげでスムーズに進み、参加者の方からも大好評でした。これを機に活動がしやすくなりました」。以来、さまざまな観光ツアーを企画・実施しています。
「砺波には、自分の家で家族の分のお米を作って、畑もして、という人が多いんです。自給自足のできる暮らし方が散居村を形作ったので、その暮らしを守り続けている人たちが好きなんです。いつまでもそうあってほしいなという思いが、「KO・RA・RE」の活動につながっています。また、その暮らし方を多くの人に知ってもらうことで、砺波を好きになる人が増えていってほしいなと思っています」。
砺波ならではの暮らし方から生まれ、地域に定着したものといえば、「となみブランド」。「となみブランド」とは、砺波市で生まれた選りすぐりの地域産品のことをいいます。第1弾ツアーでは、その認定商品のひとつ、庄川ゆずの生産者のもとを訪れました。
「生産者の方がご飯を炊いて待っていてくださいました。その場でゆずを刻んで砂糖と和えたものを、ご飯にかけて出してくださったり、お湯を注いでレモネードならぬ、ユズネードを出してくださったり。家に帰ってから同じものを家族に作られた参加者の方もいらっしゃいましたね」。
生産者の方と直接ふれあえ、生産者の暮らしを体験できることが、「KO・RA・RE」ツアーの大きな魅力です。庄川ゆず以降も、大門素麺、チューリップ球根栽培、庄川おんせん野菜、せんだん山そばなど、ツアーには「となみブランド」の生産者を訪れる企画が必ず組み込まれています。ツアーの前には、参加者だけの特別メニューの提案や価格の交渉などを行うことも、「KO・RA・RE」の仕事。2017年には、宮崎ぶどう園を訪問する予定です。
「生産者の方々は誇りを持って作っておられるので、栽培方法などについてお聞きすると、とても喜んでくださいます。「来年も来るがなら、待っとるぞ」と言ってくださるので、もうやめられませんね(笑)。生産者の方にも無理をさせることなく、細く長く続けていけたらいいなと思っています」。
「KO・RA・RE」のツアーには、「となみブランド」の生産者とふれあうこと以外に、2つの決めごとがあります。それは、体験をすること、自分の足で移動すること。新しい交通手段を知れることも、他のツアーにはない魅力といえるでしょう。
「去年はコスモスウォッチングの時に、そば畑でそばの花でミニブーケを作りましたが、あまりの牛糞臭さにみんなで大笑いしました。こういう体験を通して、美味しい蕎麦を作っていることもお伝えすることができます」。
砺波の良さをいろいろな角度から知れるツアー。生粋の砺波人である河合さんが収集した情報に対して、3人が外からの目線で意見を出し合いながらツアー内容を決めていきます。独自性の強いツアーを企画できるのは、多角的な視点で考えられているからかもしれません。また、人とのつながりも重要な鍵を握っています。
「好奇心のままに話を聞いているうちに、みんなを連れて行きたくなる。そんなことの繰り返しですね。最近では「話を聞きに来る?」と声をかけられることも増え、そこからまた好奇心の旺盛な方々とのつながりが生まれています。そして、その方々が人を紹介してくださったりして、つながりがつながりを呼んでいます」。
河合さんの本業は、イベントの企画・設営・施工を行う「ウィズケィ」の代表取締役。砺波チューリップ公園や周辺を無数の光で彩る「チューリップ公園KIRAKIRAミッション」など、さまざまなイベントを手がけています。
本業の傍ら、「KO・RA・RE」だけでなく、砺波チューリップ公園内にある砺波市の指定文化財「旧中嶋家」を管理するボランティア団体「えんなか会」にも所属しています。
「旧中嶋家を常時開放することも、私の夢。公園で子どもがケガをした時に、「唾つけとけば治るちゃ」と昔の知恵を教えてくれるような場所があるのって、いいでしょ。もっとみんなが寄りたくなる公園になると思うんです」。
北陸自動車道のインターチェンジを有する砺波。昔ながらの暮らし方を大切に残しながらも、現代の暮らしに便利な街でもあります。
「砺波は、スーパーや大型ショッピングモールなどもあり、とても暮らしやすいところです。普段の生活に便利でありながらも、豊かな自然に恵まれた本物の田舎暮らしも体験できるまち。砺波に住んでいる人たちも、いい人たちばかり。また、子育てに関しても、私が子育てをしていたときよりも、今の方が行政の手厚い支援を受けられるようです。急に子どもを預けなければならない状況になっても、身近な保育園や幼稚園が柔軟に対応してくれるそうなので、育児と仕事を両立しやすい環境が整っています。砺波は、住んでも後悔させないまちですよ」。
河合さんの話す言葉からは、砺波を愛する思いがひしひしと伝わってきました。彼女の話を聞いているだけで、こっちまで自然と元気になれます。
プロフィール
河合要子(かわい・ようこ)
1967年、砺波市野村島生まれ。HONDA系列会社に入社。22歳の時に、看板・イベント業を行う「アイドマセンサー」に入社、23年勤務する。2012年、「ウィズケィ」を設立。看板・イベント業に取り組む。2014年、「KO・RA・RE」設立。同年、「えんなか会」に所属。その他、「城端線もりあげ隊」「金屋石を語る会」にも所属し、ボランティア活動にも励む。