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ソフトな雰囲気の中に強い芯がある、良いとこ探しが上手

KO・RA・RE

弥生 一葉さん

 

東京の会社「umari」のメンバーとして、
砺波でデザインの仕事を続ける弥生一葉さん。
東京から出身地の富山県滑川にUターンしてから、
結婚を機に砺波に移り住みました。

 

砺波の“食”を広めるための
活動にも取り組んでいます。

 

東京で、富山の農家を知る

弥生さんは、大学卒業後、「六本木農園」でアルバイトをしていたことがきっかけで、その運営母体である「umari」に入社しました。同社は、地域の問題や企業の社会貢献事業のプロデュースなどを行う会社であり、その事業のひとつとして若者の就農増加を目的とした実験的なレストランにも取り組んでいました。それが、「六本木農園」です。

「六本木農園では、全国の農家さんから届いた野菜を使って料理を作り、お客さんに提供していました。私は、そこで接客や生産現場の見学などをしていましたが、ある時、富山の農家さんを主役にしたイベントが開催され、元気な農家さんが富山にたくさんいることを初めて知ったんです。こういう人たちがいるのなら、富山に帰っても面白いことができるかもと思ったことが、Uターンの大きなきっかけです」。

また、「umari」では、出勤前の時間を活用して講座を開いている市民大学「丸の内朝大学」の運営も行っています。

「富山クラスの授業では、富山県の3市町がそれぞれの地域の問題点を東京のビジネスマンとともに解決するために取り組んでいました。その時に富山で活発に活動されている方と知り合ったことも、Uターンに大きな影響を与えましたね」。

 


砺波で、東京の仕事をする

interview_06_002東京で富山の魅力的な人たちと出会うという、不思議な縁。弥生さんは帰郷する運命だったのでしょうか。現在は砺波に住みながら「umari」の仕事に取り組んでいます。

「当社では、新潟で暮らしながら「umari」の仕事をするという前例があったので、私も自然な流れで富山で「umari」の仕事をすることができました。今は、グラフィックデザイナーとして、紙媒体が必要になった時にデザインをしたり、企画書の清書をしたりしています。月に1〜2回のネットミーティングにはスカイプなどを使って参加し、日々の細かい報告等はLINE(ライン)を使っているので、砺波にいるからといって業務に支障をきたすことはありません。時には仕事で東京に行くこともあり、いいバランスで働かせてもらっています」。

 


執筆を通して、良さを見つける

interview_06_004弥生さんは、本業の傍ら、「itona」という情報誌の執筆に携わっています。その情報誌は、富山で暮らす20~50代の女性約20名が、日常の中の“好き”なものやことを紹介する媒体です。

「「itona」の編集長は、「丸の内朝大学」で知り合った明石さん。その明石さんから誘われたのが、執筆することになったきっかけです」。
 
毎号ごとに大きなテーマはあるものの、何を書くか決めるのは執筆者自身。弥生さんは、4号で富山県の東部地域と西部地域の違いについて取材・撮影・執筆を行いました。

「砺波に来て初めて「となみ夜高まつり」(※注1)を見た時に、なんて文化度が高いんだ!と思ってビックリしたんです。派手できれいな行燈を市民の人たちが作っていることにも感動しました。また、県東部では大根葉は捨てますが、県西部ではよごし(※注2)に使います。食文化にも違いがありますね。砺波に住んでからも驚きや感動がいっぱいです」。 

(※注1)「となみ夜高まつり」とは、木材や和紙で出来た行燈山車「夜高行燈」の美しい姿や、夜高行燈同士の激しいぶつかり合いを見られる祭りのこと。
(※注2)よごしとは、野菜を茹でて細かく切り、味噌で味つけした郷土料理のこと。県西部で長く継承されている。

 


原点は、幼い頃の食

interview_06_005「itona」を通じて砺波の良さを見つけ続ける弥生さんは、砺波の魅力をツアーで伝える「KO・RA・RE」のメンバーであり、ソルト(塩)コーディネーターでもあります。
「富山の新鮮な食材を生かすには塩だ!と思って、塩について勉強しているうちに楽しくなり、資格を取得しました。2015年からは、主婦向けの講座を行うセミプロの団体「shufuu:le(シュフーレ)」で塩の講座を開講し、富山の食材と塩との相性などをお伝えしています」。
弥生さんは、「シュフーレ」の講座や事務局だけでなく、富山で食や農業に携わっている人たちの集まり「富がえりのレシピ」の事務局も運営しています。
「いろいろなお誘いに乗っているうちに、いろいろなつながりができました。おかげで楽しく暮らしています。これからは、一つひとつの取り組みをより深めていきたいですね」。
弥生さんの活動は多岐に渡りますが、その根底には“食”があります。

「母方の実家が漁師をしていたこともあって、小さい頃から新鮮なものを食べさせてもらっていました。東京に行ったことで、その有り難みに気づけたんです」。

 


砺波への移住をお考えの方へ。弥生さんが考える、砺波の見方。

弥生さんのように移住先で人脈を広げられる人はいいのですが、そういうことが不得手な人もいることと思います。そこで、弥生さんにアドバイスをいただきました。

「いいところ探しをするといいんじゃないかなと思います。この思考は、「itona」や「KO・RA・RE」のおかげでもあります。新しい土地は不安だと思いますが、ないもの探しを始めるときりがなくなるので、「これもあるし、あれもある」というふうに過ごしていきたいなと私自身気をつけています。また、移住後、何でも断らずに引き受ける姿勢でいたことも、今の人間関係につながっているのかなとも思います」。

同じものを見ても、思考ひとつで捉え方は大きく異なるもの。弥生さんのように、いいとこ探し名人になると、人生がより豊かになりそうです。

 

 

プロフィール

弥生一葉(やよい・かずは)
1987年、滑川市出身。美大進学のため上京。“食”に目覚め、大学卒業後、農業実験レストラン「六本木農園」に約3年勤務。2013年、滑川へUターン。’16年、結婚を機に、砺波市苗加に移り住む。現在は、「六本木農園」の母体である「株式会社umari」富山事業部のスタッフとして、デザインなどの業務を在宅で行う。観光ツアーを行う女性グループ「KO・RA・RE」の一員。

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