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仕事も場所も何事も、やってみないと分からない。

interview_07_samune1農業法人勤務

松森 拓郎さん

 

砺波には、果物や野菜、焼き物、
そうめん、そばなど、全国に誇る名産品
「となみブランド」があります。
そのひとつが、米や花き類を生産している
農業法人「センティア 」のチューリップ切花。
松森拓郎さんは、同社の社員として
チューリップ切花の生産などに携わっています。

 

移住のきっかけは農業

interview_07_00-2松森さんは以前、神奈川県茅ヶ崎市の農業水産課に所属し、農家に対して補助金申請のサポート業務などを行っていました。「農家さんと話をしたり農作業をしているうちに、自分で農業をやりたくなってしまったんです」と、さっそく農業をしながら暮らせる地域を探し始めました。最初は、山梨や長野も候補に挙がっていましたが、奥様の実家がある富山県に絞り、東京で開催されている移住フェアなどに行って情報を収集しました。並行して県内の農業法人を探していたところ、「センティア」に出会いました。「東京や神奈川の花屋を巡ると、同社のチューリップが店頭に並んでいて、衝撃を受けました。よく調べると、ボックス栽培や移動式ベンチの導入など、新しい技術に果敢に挑戦されているとのこと。その姿勢に強く惹かれ、面接を受けました」。

 


仕事もゼロからのスタート

interview_07_0032018年3月末、センティア に入社した松森さん。最初はチューリップのウイルスチェックや米の育苗を教わることから始まりました。その後は田植え、球根の掘り取り、小菊の栽培・出荷、稲刈り、来春用の球根の植え込みなど、さまざまな農作業を経験しました。「機械化がどんどん進んでいて、最初に自分が描いていた農業のイメージとは違いました。戸惑いましたが、面白いですね」。
ボックス栽培とは、大型のプランターに球根を植え、それを冷蔵庫で保管し、開花させたい時期に合わせて温室の中に入れて開花調整を行う栽培方法です。そしてつぼみが開く前の花を収穫し、箱詰めをして出荷します。今、松森さんが行っているのは、花の収穫作業です。「次から次へと新しいボックスが目の前に運ばれてくるので、時間との戦いですね。生産性を意識しているので、より少ない時間で多くの花を収穫できたときが喜びですね。昔から公園や植物園が好きなので、土や植物に触るとリラックスできます。仕事中はリラックスしている場合ではありませんが(笑)」。住む場所、働く場所、周りの人、すべてが新しい環境の中、ゼロからコツコツと積み上げている最中です。

 


となみで、シンプルな生き方を

interview_07_004入社と同時に富山に移り住んだ松森さんのこれまでの人生は、なかなかにドラマティック。新卒で就職した会社が倒産し、「1年間休もう」とバッグ1つ持って身寄りもない京都へ行き、府庁の教育委員会でアルバイトとして働きます。公務員の仕事の面白さを知った松森さんは、大学時代に住んでいた神奈川県茅ヶ崎市の市役所職員の試験を受け、同市収納課に所属。東日本大震災の際は被災地である岩手県陸前高田市に派遣され、1年間仮設住宅で暮らしながら、区画整理の仕事に携わったこともあります。
生まれ育った静岡だけでなく、神奈川、千葉、京都と、さまざまな土地に住んだ経験のある松森さんですが、ここ砺波もすでにお気に入りのようで、「移住してよかったですね。妻と共に暮らしているアパートの近くにはスーパーやドラッグストア、図書館などがあって、便利さでは神奈川に住んでいた時とそんなに変わりません。人ごみや満員電車がないのもいいですね。道が広くて気持ちがリラックスでき、余計な誘惑がないので、仕事と家族に集中できる環境です。よりシンプルに生きられる場所ですね」と微笑みます。
今は仕事を覚えることに精一杯で、まだ地元の人々とは触れ合う機会がないそうですが、「もっと地域の行事に携わってみたいですね。何事もやってみないと分からないので」と意欲的。好奇心に従って挑戦し続けるそのたくましい行動力で、砺波の人たちとも交流を深めていくのでしょう。

 

プロフィール

松森拓郎(まつもり・たくろう)
1982年、静岡県出身。神奈川の大学で学んだ後、東京のIT系ベンチャー企業で働くも倒産。その後、京都府庁の教育委員会でアルバイトを経験し、神奈川県茅ヶ崎市の市役所職員に。同市収納課に所属。東日本大震災の際に被災地である岩手県陸前高田市に1年間派遣された後、同市農業水産課へ異動。2018年3月末、センティア に入社し、現在に至る。

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