自分の仲間は、自分でつくる。
パン教室主宰
小林 朋子さん
結婚を機に、砺波に移住してきた小林朋子さん。
伝統的な家屋・アズマダチの中で、おしゃれなパン教室を主宰されています。
岐阜県出身の朋子さんは、2003年に砺波市出身のご主人と結婚。それを機に、砺波にIターンすることになりました。
「全く知り合いがいない土地にお嫁に行くとなると、自分で仲間をつくらなきゃいけないと思っていました」 そこで朋子さんは、砺波の移住が決まった頃から、パンづくりの勉強を始めました。
息子夫婦が帰ってくるということで、築100年以上の立派な小林家は、一大リフォームを開始しており、できあがるまでは1年以上の準備期間がありました。
「実は、母もパンをつくっていたので、昔から親しんでいたものだったし、これならお家でも教室ができると思ったのです」 と朋子さん。
自分の将来の姿をイメージしながら着々と準備をして、2004年、砺波に移住しました。
50年ほど前までは、立派なアズマダチの中に3世代以上が一緒に暮らしているのが普通でしたが、生活様式も変化し、核家族化が進んだ今では、1軒の中に2世代が住んでいるというのは珍しいこと。
だから、ご主人のご両親は、家を巣立っていった息子が帰ってくるとは思っていませんでした。
朋子さんとご主人が婚約する前、小林家はリフォームどころか、手頃なマンションへの引っ越しも考えていたそうです。
「年老いてから雪かきや掃除の大変さを思うと、マンションに引っ越した方がよいのでは…」と。 しかし、息子さんは「ふるさとに根ざしたい」とUターンを希望していました。
そして、朋子さんが、ご両親との同居に積極的だったことが決定打となり、「若いもんが住みやすい家に」改築することになったのです。
リフォームでは、水廻りやご両親の居住スペース以外の1階の部屋は、ほとんど手を加えていないそうです。
心地よい緊張感の漂う玄関ホールには、屋根裏まで見える立派な吹き抜けがあって、圧倒されます。
2階は、若夫婦+6歳の娘さんの住まい。
中に入ってしまえば、洋風の新築のお宅のような、おしゃれで親しみやすい雰囲気です。
2階のキッチンには、 パンを焼くためのオーブン、発酵機、こね機、パンをこねる作業台も完備しています。朋子さんは、このキッチンで、「smile time」という完全予約制のパン教室を主宰しています。
「すべての人に平等に与えられているのが『時間』なんだよって、大学の先生に教わったんです。だから、どう過ごすかが大事。
与えられた『時間』をずっと『笑顔』でいられたら、なんてステキだろう?と思ったんです」と、パン教室の名前の由来を教えてくれた朋子さん。
その名の通り、笑顔の絶えない、アットホームな雰囲気の中で学べるのが魅力です。
今や、富山県内の自宅パン教室のパイオニアとなった朋子さんですが、始めたばかりの頃は、苦労もあったそうです。
「最初の頃は、もくもくと一人でパンを焼く日が続きました。
富山の女性たちは日中働いている人が多いからか、なかなか人が集まらなかったんです。」
地道な努力を続け、徐々に口コミが広がり、教室は8年目を迎えました。
毎日更新しているBlogには、毎日数百人がアクセスしており、次回のパン教室の予定が出ると、瞬時にその席が埋まるほど。
生徒さんたちのほとんどは、Blogがきっかけだそうです。
Blogには、日々のできごとともに、その日つくったパンや教室のことが紹介されています。
オリジナルレシピや、おしゃべりを楽しめるランチスタイルが評判で、富山県内だけでなく隣県からも習いに来ている生徒さんたちもいらっしゃいます。
今回は、子育て中のママたちが勢揃いしていました。
朋子さんと同じく県外からお嫁に来た方も。
カイニョに囲まれたお宅で、季節の移り変わりを感じながら、毎日パンを焼く朋子さん。
教室がない時も、イーストやパン生地と向き合っています。
毎日の生活としっかり結びついているからこそ、手際のよさや技術の高さは折り紙つき。
「他の教室にも通ったんですが、そこでは教えてもらえないことも、丁寧に教えてもらえるんです。」 と話す生徒さんもいらっしゃいました。
パン教室というより、友達どうしでお茶をしているうちにパンができているような感覚に近いかもしれません。
● smile time ホームページ(外部リンク)